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大きな口を開けて泳ぐウバザメの写真を見て、「このサメ、海の水より体が温かいらしいよ」と聞いたら、ちょっと立ち止まらない?
魚なのに? しかも、あのプランクトンを食べる巨大なサメが?
答えは、泳いでいるウバザメの皮膚に近い白い筋肉で、周囲の水温より高い温度が測られています。ただし、「人間みたいに全身をいつも同じ温度に保つ」という話ではありません。ここを分けると、面白さがぐっと増すんです。
2023年には実際の温度を記録した研究、2025年には体の中の血管や筋肉を比べた研究が出ました。同じウバザメでも、調べた場所と方法が違います。「温かいサメなんだね」で閉じる前に、どこを測って、何がまだ分からないのか、一緒に見ていこう。
水温より1〜1.5℃高い。まず「どこの温度?」を確かめよう
2023年の研究で温度を記録したのは、アイルランド沖を自由に泳ぐ4頭のウバザメです。対象の全長は5〜8m。研究者は体に取り付ける装置で、白い筋肉の温度と周囲の海水温を記録しました。
白い筋肉、といっても、お腹の奥や心臓に体温計を入れたわけではないんです。温度センサーの位置は、皮膚の下の層から約5〜7cm。論文では皮下の白筋として扱われています。海水と比較した数字を読むなら、この測定場所も一緒に持っておきたいところです。
記録できた時間は、それぞれ6〜12時間。その間、4頭とも測定した筋肉の温度は周囲の海水よりおおむね1〜1.5℃高い状態でした。
おおっ、ちゃんと泳いでいるサメで差が出ている!
でも、この数字を見て「ウバザメの平熱は1.5℃」とは言えません。1〜1.5℃は水温との差です。体そのものが何℃だったかと、周囲より何℃高かったかは別の数字。たとえば説明用に水が15℃、測った場所が16℃だとすれば、差は1℃です。これは計算の例で、論文の特定の個体の測定値ではありません。
もう一つ、温度が高いことと、温度がまったく変わらないことも別です。研究では3頭について、水温が緩やかに下がるのに対応するような体温の低下も見られました。海の変化から完全に切り離された、一定温度の体というわけではないんですね。
親子で調べものをするなら、メモを三つに分けてみて。「対象は4頭」「場所は皮下に近い白筋」「記録は6〜12時間」。この三つを添えれば、研究が確かめた範囲を落とさず説明できます。「全部のウバザメを一年中測った」という大きな話にも飛びません。
図鑑は、まず相手の姿や体のつくりを知る入口に向いています。大洗水族館監修の学研『サメ』は、出版社が約100種の掲載と歯・感覚器・繁殖などの解説を案内している一冊。今回の論文をまるごと解説した本としてではなく、サメの体を広く見比べる本として選ぶと役割がはっきりします。
出典:Doltonほか、2023年の論文・本文PDF、学研の書籍紹介。
大きいから冷めにくいだけ?温度の記録と体のつくりをつなげる
ここで出てくる疑問が、「体が大きいから、ただ冷めるのが遅いだけじゃないの?」です。
うん、その疑問は置いていけません。巨大な魚と小さな魚では、熱の変わり方を同じには考えられないからです。
2023年の研究者も、そこを調べています。体の大きさによって熱が移る速さが変わる関係を使い、もしウバザメが完全に外部の温度に依存する魚だったら、測定した場所の温度がどう変わるかをモデルで計算しました。その計算と、実際の4頭の記録を比べたんですね。
モデルでは、時間とともに測定場所の温度が周囲の海水温へ近づく一方、実測では温度差が保たれていました。研究者は、体が大きいことだけで説明しきれるのかを検討し、ほかの仕組みの関与も考えました。ここで言えるのは「大きさは関係ない」ではなく、「大きさだけを理由にして話を終えられない」です。
体の中からも手がかりを集めています。筋肉の配置を調べたのは、2020年にイングランドで海岸に打ち上がった雄2頭。全長は3.8mと4.5mでした。作業上の制約があったため、全身を自由に輪切りにできた調査ではなく、部分的な断面を使っています。
調べた断面では、赤い筋肉が体幹の比較的内側まで分布していました。ただ、これを「ウバザメの赤筋は全部、背骨のすぐそばにある」と描いてしまうと大ざっぱすぎます。論文は、ほかの保温するサメで見られる配置と完全に同じだとはしていません。尾へ向かうにつれて配置も変わっています。
さらに、2021年にアイルランドで打ち上がった別の2頭から心臓を調べました。心室を構成する筋肉のうち、緻密な部分がどちらも47%あったと報告されています。これが「心臓の47%が発熱装置」という意味ではないので、そこは注意。心室の筋肉の構成を示す数字です。
温度を測った4頭、筋肉を見た2頭、心臓を見た別の2頭。全部同じサメで一度に確かめたように読むと、証拠のつながり方を取り違えます。実際には、別々の調査で得た手がかりを合わせて考えています。
心臓の数字も、単独で合否を決める印にはできません。2023年論文自身が、緻密な心筋の割合が高くても、完全に外部の温度に依存する魚の例があると説明しています。だから「47%だから保温するサメ」と数字だけで判定するのは早いんです。温度の記録、筋肉の配置、心室の特徴が、それぞれ何を支えるかを見る必要があります。
温度の調べ方にも工夫がありました。装置は泳いでいる個体に取り付けられ、約12時間後に外れる仕組みを備えていました。記録を回収するための装置も組み合わせています。これは研究用の許可の下で実施された方法で、観察のために一般の人がサメへ近づいて温度を測る提案ではありません。
ノートには結果だけでなく、「どうやって知った?」という欄を一つ足すといいよ。体温計で測ったのか、断面で見たのか、計算して比べたのか。その欄があると、次の研究が出たとき、どの証拠が増えたのかも追いやすくなります。
この読み方、図鑑の写真と論文の図を見比べるときにも役立つよ。「外から見える形」「断面から分かる位置」「生きて泳ぐ間の数値」。何で確かめた情報なのか、余白に短く書いておく。見た目の迫力だけだったサメの体に、違う入り口が増えてきます。
出典:2023年論文の方法・結果・考察。モデル計算と実測は別の結果として紹介しています。
2025年の解剖では「保温する場所」に新しい手がかりが出た
では、ウバザメはホホジロザメなどと同じ仕組みで、泳ぐ筋肉を温めているのでしょうか。ここで2025年の研究が効いてきます。
この研究は、ウバザメ、部分的に体を保温するニシネズミザメ、外部の温度に依存するニシオンデンザメを各1頭調べ、筋肉と血管などの形態を比較しました。ウバザメでは赤筋を保温するための血管網などが見られず、赤筋の保温を支持しない一方、胃・脾臓・腸に関係する血管網が見つかりました。内臓、特に消化器周辺の保温の可能性を示す結果です。
ただし、これは内臓の温度を生きた個体で直接測って確定したという報告ではありません。形の手がかりから機能を推定する研究です。頭部にも候補となる構造がありますが、実際にどれだけ保温できるかは追加調査が必要とされています。
つまり、2023年の「温度差があった」という実測を、2025年の解剖が単純に取り消したわけではないんです。「どの場所を、どんな仕組みで温かく保つのか」という問いを細かくした、と読むとつながります。全身、筋肉、内臓をひとまとめにしない。それだけで、ニュースの読み方が変わるね。
図鑑で体の部位をたどり、詳しい研究は元の論文で確かめる。本を読む楽しさと、研究の続きに出会う楽しさを両方残せます。本書の全ページを確認したわけではないため、この2025年研究の解説が載っているとは案内しません。
出典:Klöckerほか、2025年・Journal of Fish Biology。比較対象、筋肉と内臓の違い、形態からの推定という範囲を分けています。
プランクトンを食べる巨大魚だから、この発見が面白いんだよね
「体が温かい」と聞くと、獲物を猛スピードで追いかける強そうな魚を思い浮かべるかもしれません。でもウバザメは、動物プランクトンをろ過して食べるサメです。2023年の研究が問い直したのは、この食べ方と体の特徴の組み合わせでもありました。
あの大きな口を開けて泳ぐ姿。ぼんやり漂っているように見える一枚の写真だけで、体の働きまで決めてしまうのはもったいないんです。口を開けて水を通しながら進むなら、その抵抗に対して泳ぎ続ける必要があります。
2023年論文は、今回見つかった特徴が、冷たい水の中でろ過して食べながら泳ぎ続ける力を支える可能性を考察しています。ただし、温度が高いことで採食効率が何%良くなったかを実験した論文ではありません。「こうした働きに関係するかもしれない」という考えと、実際に測定した温度差を分けて受け取りたいところです。
ここ、調べ学習のテーマにもできます。「サメは何を食べる?」を一行で答えて終わる代わりに、「その食べ方を続けるために、体のどこが働く?」へ進むんです。ウバザメなら、泳ぎながら水を取り込み、食べものを集める。そこに筋肉、血管、温度という別々の問いがつながっていきます。
まとめる紙は、大きなサメの絵一枚で十分。外側には口と泳ぐ方向、内側には今回調べた筋肉の位置、欄外には測った温度の情報を書く。保温の仕組みがまだ推定の部分には、「今後確かめたい」と添えます。自分で内臓の細部を描けなくても、分かっている場所と未確認の場所を分けられれば立派な整理です。
種類を比べるときも、先に同じ項目を決めてみて。たとえば「食べるもの」「水の取り込み方」「体温の情報」の三つ。資料に見当たらない項目は空欄で構いません。空欄を埋めようとして、ウバザメで分かったことをジンベエザメやメガマウスザメへ移さないようにしよう。
似た食べ方なら体の中まで同じ、と決めつけず、どこが似て、どこは別に確かめるのかを探す。そうすると図鑑の一ページが、覚えるための一覧から、次の疑問を見つける場所に変わります。約100種の中からまず二種類だけ比べる、くらいで始めても楽しいよ。
出典:2023年論文の序論・考察、学研の内容紹介。調べ学習の進め方は、本記事からの提案です。
温かい体なら何でも有利?最後は海で暮らす条件へ戻ろう
冷たい海でも体の一部が温かいなら、ずっと有利に暮らせそう。そう思ったところで、もう一つだけ考えてみて。熱を作って保つにも、エネルギーが要るんです。
2026年4月、トリニティ・カレッジ・ダブリンは、体の一部を温かく保つ魚の代謝と海水温を扱った研究を紹介しています。自由に泳ぐ魚の体温・水温の記録から熱の出入りを推定し、小型魚を調べた多くの実験データと合わせた研究です。対象には大型のウバザメのデータも含まれています。
大学の説明では、体の大きさと温度を考慮した比較で、こうした魚のグループは同程度の大きさの外温性の魚より、約3.8倍のエネルギーを使うと推定されています。これはウバザメ一頭が食べたプランクトンを毎日量り、「ほかの魚の3.8倍食べた」と確かめた数字ではありません。グループを比較した代謝の推定値です。
温かい体の利点だけでなく、それを維持する負担や、海が暖かくなったときに熱を逃がす条件も考えたい。研究が扱っているのは、そんな暮らしの収支です。「温かいから温暖化にも強い」と一足飛びに決められない理由が、ここにあります。
この話を読んで調べ学習へ足すなら、「便利な特徴にも、維持する条件がある」と一行置いてみて。速さや大きさの競争で終わらず、食べものと周囲の温度までつながる。サメを強さランキングだけで見るより、ずっと生きものらしい姿に近づけます。
資料を選ぶときは発表年も添えよう。2023年は皮下に近い筋肉の温度と解剖の手がかり、2025年は保温する部位の違い、2026年は温かい体を維持するエネルギーの話。同じ年の同じ実験で全部分かったようにせず、調べた問いを横に並べると見失いません。
サメの本をこれから選ぶなら、今回紹介した学研『サメ』はISBN9784052061035で確認できます。出版社が案内するのは2025年11月発売の120ページの図鑑。後から発表された2026年の研究まで収録したものとして買わず、体の特徴を知る一冊と新しい論文を行き来する使い方がおすすめです。送料や新品・中古などの条件は店舗ごとに確かめてね。
最初の「魚なのに、温かいの?」に、今なら少し詳しく返せそうです。泳ぐウバザメで温度差が測られていて、保温する場所や仕組みはさらに調べられている。そこで終わりじゃなく、次に知りたい場所が見えてくる。大きな口の写真をもう一度見るとき、その体の内側にも目を向けてみてね。
出典:トリニティ・カレッジ・ダブリン、2026年4月16日の研究紹介、学研の刊行情報。2026年研究は大学の公開説明を確認した範囲で紹介しています。