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長い尾びれが、頭の上までぐるんっ。
サメの狩りと聞いて、大きな口で魚へ突っ込む姿を想像していたら、この動きは意外だよね。前に口があるのに、どうして後ろの尾を使うの? 魚を追う方向と、食べる向きがちぐはぐにならない?
実は、オナガザメの仲間には長い尾びれを使って獲物を弱らせ、そのあと向きを変えて食べる狩りが確認されています。2013年の研究では、フィリピンの海でニタリという種類の行動を水中撮影し、尾を振るまでと、そのあとの動きが調べられました。
えええ、尾で魚をとるの、本当だったんだ!
ただし「サメはみんな尾で魚をたたく」という話にはしないでね。どの種類を、どこで、何回観察した研究なのか。そこまで見ると、面白さが薄れるどころか、体の使い方がもっとはっきりしてきます。
この記事では研究論文をもとに、ニタリの狩りを四つに分けて読みます。体の形を図鑑で比べたい人には、ニタリを収録する『サメすご図鑑』も参照候補に挙げています。図鑑を実際に全編読んだ感想や、海で目撃した体験談ではありません。
オナガザメとニタリは同じ名前?まず研究の相手を決めよう
検索すると「オナガザメが尾でたたく」「ニタリが尾で狩る」という二つの言い方が出てきます。別々の生き物の話をしているのか、同じ話をしているのか、ここで少し迷うよね。
今回の2013年の研究で対象になった学名はAlopias pelagicus。日本語のニタリに当たります。いおワールドかごしま水族館の公開資料でも、ニタリの学名を同じ名前で載せ、オナガザメ科の魚として紹介しています。
つまり、オナガザメの仲間のうち、今回詳しく見る相手がニタリなんです。仲間全体の呼び方と、一種類の名前を分けると、話の大きさがそろうよ。
英語の論文ではpelagic thresher sharkと書かれています。thresher sharkという言葉だけを見て、すべて同じ種としてまとめないこと。論文の冒頭にも、近い仲間の別種の研究が紹介されていますが、それが全部ニタリの観察結果というわけではありません。
家で調べるときは、ノートの上に「ニタリ/Alopias pelagicus」と二つ並べて書いておく方法があります。日本語の図鑑と英語の研究を行き来しても、同じ相手を読んでいるか確かめられるからです。
写真でまず探すのは、長く伸びた尾びれ。それから胸びれや体の向きも一緒に見てみよう。尾だけが細長く写っていると、どこからどこまでが体なのか分かりにくい場合があります。頭、胸びれ、尾の付け根、先端と順に指で追うと、形を整理しやすいです。
ただし、一枚の写真で似た仲間を必ず見分けられる、とはしません。図鑑や水族館資料の名称、学名の表示も使って照らし合わせてね。「長い尾だから全部ニタリ」と決めてしまうと、別の種の説明を移してしまうかもしれません。
『サメすご図鑑』は佐藤圭一さんの監修・著で、KADOKAWAが2023年11月18日に発売した160ページの本。出版社の目次にはニタリがあり、ほかのサメの体の作りや暮らしを読む入口にもなる構成です。尾びれの形を比べながら種類の名前を探したい人に、内容紹介を確かめて検討してほしい一冊です。
なお、体の最大サイズや、全長のうち尾が占める割合は、今回参照した資料同士でも表記が違いました。ここでは一つに決めて掲げず、狩りの動きを主題にしています。ノートへ大きさも加えるなら、どの資料のどの種の数字かを一緒に残そう。
口で追うだけじゃない。準備して、振って、戻して、食べに行く
ニタリの尾の動きは、ただ後ろで左右にゆらゆらしているだけではありません。研究で詳しく調べた上から振り下ろす狩りでは、体の姿勢が変わり、長い尾が体の上を通って頭のほうへ向かいます。
後ろの尾が、前の獲物へ届く。
ここが分かると、「前に口があるのに?」という最初の疑問がほどけてくるんだよね。
論文は狩りを、準備、打撃、姿勢の回復、獲物の回収という四つの段階へ分けています。専門語を先に覚えるより、何をしている時間かで見てみよう。
| 段階 | 研究で記述された主な動き | 読んで確かめたいところ |
|---|---|---|
| 準備 | 群れるイワシへ近づく | いきなり尾だけが動くのか |
| 打撃 | 胸びれや体の姿勢を変え、尾を頭上へ振る | 頭、胸びれ、尾の付け根のつながり |
| 姿勢の回復 | 体や尾を泳ぐ姿勢へ戻す | 打ったあと、そのまま食べ始めるのか |
| 獲物の回収 | 向きを変えて弱った魚などを食べに行く | 食べるところまで確認できたか |
上から尾を振る行動の説明では、胸びれを内側へ寄せる動きが、サメの姿勢の変化と関係しています。頭側と後ろ側の位置が変わり、尾の付け根の動きから、先端が頭上を通る流れです。
尾だけを道具みたいに取り外して考えると、不思議が増える。でも、胸びれや胴体を含めて一つの動作として見ると、長い部分を前へ送り出す様子が追いやすくなります。
魚へ体当たりするように近づいた、その瞬間だけを見て「口で食べた」とまとめるのも早いんです。研究では、準備として近づく動きと、尾で打つ動き、そのあと食べる動きを分けています。
特に面白いのが、打ったあと。分析した上からの打撃十六件のうち十五件では、体勢を戻したあとに約180度向きを変える動きがありました。尾で弱らせた魚を探し、回収するためと研究者は考えています。
ああ、先に尾を使うから、あとで口を向け直すんだね!
ただし、向きを変えたら必ず魚を食べた、とまでは言えません。論文では、実際に魚を食べる場面が確認されたかも別に記録されています。体の動きを見た事実と、その動きの役割についての解釈。二つをつなげつつ、同じものにはしないで読もう。
なお、横方向へ尾を振る行動も報告されていますが、撮れた映像の数や見え方が違い、上から振る行動と同じ細かさで解析できたわけではありません。「尾でたたく」の一言の中にも、向きと観察条件の違いがあるんです。
一回で七匹?研究の数字は、どこまで数えたかと一緒に読もう
尾で魚をとれるなら、毎回まとめてごはんが手に入る?
そこは、成功したときの数字と、試み全部の数字を分けて見よう。研究が面白いのは、大きな記録だけでなく、うまくいかなかった場面や見えなかった部分も残しているところです。
調査は2010年6月から10月、フィリピンのペスカドール島周辺で行われました。論文は2013年に発表されています。発表した年と、海で撮影した年は同じではないんだね。
記録された狩りの行動は二十五件。そのうち二十二件が上から尾を振る行動で、横から振る行動の録画は三件です。さらに、上からの二十二件すべてを同じように解析したのではなく、魚に隠れていたり遠かったりした記録を除き、十六件が分析対象になっています。
その十六件のうち、魚を食べるところを確認したのは五件。成功した記録で食べたイワシの数は二匹から七匹で、平均は3.6匹でした。
七匹というのは、その成功例の中での最多です。ニタリがいつでも七匹食べる決まりでも、すべての狩りを平均して七匹になるという話でもありません。
| 数字 | 何を数えたものか |
|---|---|
| 二十五件 | 撮影して記録した狩りの行動 |
| 二十二件 | そのうち上から尾を振った行動 |
| 十六件 | 条件がそろって分析できた上からの行動 |
| 五件 | その十六件中、食べるところを確認した成功例 |
| 二〜七匹、平均3.6匹 | 成功例で食べたイワシの数 |
こうして並べると、一つの数字から話を大きくしすぎずに済むよね。しかも「複数の魚を一度の狩りで回収できる」という、尾を使う利点も見えてきます。
「速さはどのくらい?」も気になるところ。論文には尾の先端の速さの解析がありますが、これはサメ自身が海を泳いで進む速さとは違います。尾先の動きを測った数字を、そのままニタリの泳ぐ速度として書かないことも大切です。
また、映像には尾の先の動きが速く、ぶれてしまった部分があり、研究者は画像の位置を合わせるなどして解析しています。数字はどこかで時計を押しただけで出てきたものではなく、撮影の向きや測り方を選んだ結果なんだね。
この研究の観察時間は日中です。論文には昼夜の行動への考察もありますが、日中の映像を夜の狩りまで直接撮影した証拠として扱うことはできません。調べ学習なら、観察された時間と、研究者が可能性を述べた範囲を別の行へ書くと整理しやすいです。
もう一つ、打撃のときに出た泡にも研究者は注目しています。速い尾の動きによって周囲の水の圧力が変わり、気泡が生じた可能性を論文では考察しています。ただし、泡が見えたという記録と、その発生の仕組みを完全に突き止めたという話は別です。
ここを「泡の力で必ず魚を倒す」「尾が当たらなくても全部気絶させる」と言い換えるのは飛びすぎ。面白い映像の説明ほど、見えたもの、測ったもの、可能性として述べたものを分けてみよう。
調査では、サメの攻撃後に動きが弱った魚や死んだ魚を回収し、傷なども調べています。尾を振る姿を撮っただけで狩りの成功を決めたわけではないんだね。それでも、魚が隠れて見えない場面まで成功と数えてしまわない。この区切りも数字を読む手がかりです。
一つ一つ条件を付けると、すごさが減る? むしろ逆で、見えたことが具体的になるよ。尾を振った回数だけで終わらず、魚を口へ運ぶところまで数えている。その丁寧さが、「本当に尾で狩るの?」への答えを支えています。
図鑑と論文はどう使い分ける?尾の形から、動作の前後へ進もう
子どもと一緒に調べるなら、いきなり英語論文の数字の表へ進まなくても大丈夫。まず図鑑でニタリの名前と姿を探し、頭と胸びれ、尾の位置を見よう。そのあと、狩りの説明へ戻ると話がつながります。
今回の図鑑は、出版社の案内で国内外八十種以上を収録し、漢字にはルビがあるとされています。ニタリだけでなく、尾や頭の形が違う仲間を並べて見るきっかけになります。ただし、ここで説明した研究の解析数値まで本の中に載っている、と確認したわけではありません。
体の名前を探す入口は図鑑。どこで何を測ったかを確かめる根拠は論文。使う役目を分けると、どちらか一冊に答えを全部背負わせずに読めるんです。
ノートを作るとしたら、最初のページは大きなサメの絵より、小さな四コマでもいいね。準備、尾の打撃、姿勢を戻す、向きを変えて食べる。自分が説明を読んで分かった範囲を、矢印でつないでみよう。
上手な絵を描くより、尾がどちらへ動き、口がいつ獲物へ向くかが分かれば目的に近づきます。分からないところは空白や疑問符を残して、図の説明を読み直す。想像で空欄を埋めて観察結果にしないのが、調べ学習としての工夫です。
もう一枚には、「分かったこと」と「まだ確かめたいこと」を分けて書けます。分かったことは、ニタリで尾を使う狩りが記録され、成功例では複数の魚を食べたこと。次の疑問は、別のオナガザメの仲間ではどうなのか、同じ動きをどこでも行うのか、といった形です。
「群れで協力しているのかな?」という疑問も自然に出てくるよね。ただ、論文は複数のサメの行動について、協力した狩りなどの解釈には慎重です。近くに二匹がいたということだけでは、役割を分けた作戦がある証拠にはならないからです。
図鑑の正誤表も、一緒に見ておこう。出版社は本書の83ページについて、鰓耙の説明をウバザメからメガマウスザメへ訂正する案内を公開しています。今回の尾の研究とは別の箇所ですが、購入した本を読むときには、版や訂正情報を合わせる習慣が役立ちます。
紙の本を選ぶ場合は、ISBN9784041137505、佐藤圭一さん監修・著、KADOKAWAという書誌を照合してね。同じ題名で電子版の掲載もあるため、持ち歩いて見たい紙の本か、端末で読む版かを注文時に確認してください。在庫、送料、発送日はお店ごとの案内で決めよう。
最後は、サメの口を見ていた目線を、少し後ろへ。
長い尾がある。そこで終わらず、動かす前にどんな姿勢になって、そのあとどちらへ向き直るのか。そこまで追うと、あの長さがただの飾りではないことが見えてきます。
「どうして尾が長いの?」から、「その尾を使うとき、体全部はどう動くの?」へ。次に図鑑を開くときは、そんな問いを一個持ってみて。サメを見る場所が、口の先から尾の先までぐーんと広がるよ!
参照:Oliverほか、2013年の狩りの研究、かごしま水族館・ニタリ資料、KADOKAWAの書誌・目次・正誤表案内。論文の本文と図の説明を参照し、付属動画の視聴結果とは区別しています。