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水族館の説明で「サメの卵」を見つけたとします。
へえ、サメも卵なんだね。魚だもんね。
ところが、別のサメの説明には「赤ちゃんが生まれました」。
えっ、どっち? さっき卵だったよね?
ここ、混乱していいところです。同じサメの仲間でも、生まれ方は一つにそろっていません。卵を産む種類も、体の中で育った子ザメを産む種類もいます。
しかも、赤ちゃんを産むサメどうしで比べても、育つ途中の栄養のもらい方が違うんです。
わあ、そこまで分かれるのか……!
いきなり全部の名前を覚えなくて大丈夫。まずは「どこで育つ?」「何から栄養をもらう?」の二つを別々に考えてみましょう。ここを分けると、卵生も胎生も、ぐっと見通しがよくなります。
卵を産むサメも、赤ちゃんを産むサメもいる
「サメは卵を産むの?」への短い答えは、種類による、です。
ただ、これだけだと、うん、それは分かったけど……で止まっちゃいますよね。
もう一歩、言い方を具体的にします。
卵を母親の体の外へ産み、その卵の中で子が育つのが卵生。母親の体内で育った子が産み出されるのが胎生です。サンシャイン水族館は、サメの繁殖をこの二つに大きく分けて説明しています。
ここで「魚だから卵」「赤ちゃんを産むから哺乳類」という結びつけ方は、いったん外してみてください。サメは魚の仲間で、そのサメに胎生の種類もいる、ということです。
たとえば調べる名前を一つ選ぶなら、卵生のトラザメ。体内で育った子を産む例なら、卵黄依存型のジンベエザメ。まず二つの名前を置くと、「同じサメでも違うんだ」が具体的になります。
なお、卵生か胎生かは、顔の怖さを見比べるクイズにはしないほうがいいです。写真の印象で予想する遊びはできても、答えは種の解説で確かめましょう。大きいから胎生、小さくてかわいいから卵生、と見た目だけで決めるのは早いです。
一緒に調べる相手がいたら、最初の問いは「これは何ザメ?」がおすすめ。
「サメの赤ちゃん」で一括りにしていたものを、トラザメの子、ジンベエザメの子、と言い直すだけで、調べる入口がはっきりします。
名前が長い? そうなんです、サメの名前って急に情報量が増える。
その場で全部覚えようとせず、正式な種名を一つメモするくらいで十分です。家でその名前を探せれば、見た説明の続きが読めます。
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本を用意する場合も、最初から掲載される種を全部暗記する必要はありません。気になった名前を引いて、「卵で産まれる?」「子ザメで産まれる?」を探す。今日はそこだけで、ちゃんと一歩進めています。
卵の中のごはんはどうする?トラザメの卵黄を見てみよう
卵生と聞くと、丸い卵がたくさん並ぶ光景を思い浮かべませんか。
ところがサメの卵には、ドリルのような形や、袋のような形もあります。卵、と一言で言ったのに形が全然違う。ここ、写真や標本の説明を見比べる楽しみがあります。
ただ、外側の形に驚いたあとで気になるのは、中の赤ちゃんのほう。
卵に入っている間、ごはんはどうしているんでしょう。
卵生の例として研究されたトラザメは、発生する間、卵黄を栄養源にして育ちます。卵黄は、成長するために使われる栄養を含む部分。「外で餌を捕まえられないのにどうするの?」には、卵の中にある栄養を使うんだよ、と返せます。
しかも、この研究の面白いところは、栄養が「ある」だけで話を終わらせていないことです。どうやって吸収して、体の成長につなげるのかまで調べています。
発表によると、発生の中期以後には、卵黄を包む袋の上皮と、子ザメ自身の腸の両方が、卵黄の成分を積極的に吸収していました。袋側から腸側へ、単純に担当が交代して終わり、とはならなかったんですね。
卵の中って、ただ待っているだけの場所に見えるかもしれません。
でも、育つ体のほうでは栄養を取り込む仕組みが働いている。外からは小さな卵に見えても、中の成長にはちゃんと段取りがあるんです。
研究用語の「胚」は、生まれる前の発生途中の個体を指しています。説明の中にこの字が出たら、急に別の生き物の話になったわけではありません。今、卵の中で育っている子の話をしているんだな、と戻ってきてください。
一つ気をつけたいのは、この研究がトラザメを対象にしたものだという点。面白い仕組みを知ると「全部のサメも同じ!」と言いたくなるけれど、そこは広げすぎず、トラザメで調べられたこととして覚えておきましょう。
図鑑や解説図を見るときは、子ザメの姿だけでなく、卵黄がどこに描かれているかを探してみてください。「この小さな体が、この栄養を使って育つんだ」とつながると、形だけを見ていたときとは違う疑問が出てきます。
お子さんと読むなら、難しい用語を全部読ませるより「卵の中には、育つための栄養があるんだって」からでよさそうです。もっと聞きたい反応があったら、腸も働く話へ進む。興味がふくらむ順番に、説明を足してあげてください。
卵の写真を探したら、外側の形と内側の育ち方を分けて考えてみましょう。形が見える図と、栄養の説明とでは分かることが違います。どちらか一つで全部を理解しようとせず、気になった部分からつないでいけます。
胎生でも栄養の取り方は同じじゃない。ホホジロザメの例が面白い
「赤ちゃんを産むなら、お母さんから同じように栄養をもらうんでしょ?」
そうまとめたくなるところですが、ここにもう一段、違いがあります。
体内で育つ、という生まれ方と、何を栄養にして育つかは、分けて見る必要があるんです。胎生と書かれていたら、次に栄養の説明を読んでみてください。
なかでも目を引くのが、ホホジロザメの説明。
沖縄美ら海水族館は、子宮の中の子ザメが栄養卵を食べることと、妊娠初期には母親が分泌する脂質の多い液体を栄養源にすることを紹介しています。この液体が「子宮ミルク」と呼ばれるものです。
子宮の中で卵を食べる? さらにミルク?
ちょっと待って、聞き慣れた言葉なのに、場所がぜんぜん違う!
「ミルク」という呼び名から、母ザメが生まれた子へ乳を飲ませる場面を想像してしまいそうですが、この説明は子宮の中で育つ段階の栄養の話です。哺乳類の授乳と同じ場面として描かないようにしましょう。
もう一つ、卵という言葉にも注意です。ここで食べられる「栄養卵」は、卵生のサメが体の外へ産む卵と、説明の中で果たす役割が違います。同じ字が出てくるので、混ざりやすいんですよね。
卵生の説明で読んだ卵は、その中で子が育つ場所。
今のホホジロザメの説明で読んだ栄養卵は、体内で育つ子が食べる栄養源です。
「卵が出てきたから、ホホジロザメも卵生?」と早合点せず、どこで育って、どんな状態で産み出されるのかへ戻れば、整理し直せます。
ノートに書くなら、ホホジロザメの名前の横へ「胎生」、その下へ「体内での栄養:子宮ミルク、栄養卵」と分けて書く方法がおすすめです。長い文章を丸写しするより、生まれ方と栄養を別々の欄にしたほうが、あとで見返しやすくなります。
ここを読んで怖さを感じる人も、仕組みに驚く人もいると思います。無理に「かわいい話」に変えなくて大丈夫。生き物の育ち方には、自分の暮らしの感覚から離れたこともある。それでも、どんな方法で育つのかを知る面白さはあります。
なお、ホホジロザメの例を、そのままジンベエザメやほかの胎生種へ移すことはできません。名前が違えば、栄養の説明も読み直す。知ったことを全部のサメへ広げない、この一手間が理解を確かにしてくれます。
本で概要をつかんだあと、気になった種の水族館資料へ進む使い方ができます。今回はホホジロザメの栄養に話を絞りました。ほかの型まで一度に覚えようとして頭がいっぱいになったら、今日はこの違いだけ持ち帰ってください。
卵生なのに、産まれる前から長く育つ?ナガサキトラザメの話
ここまでで「体の外の卵で育つ」「体内で育つ」と整理してきました。
すると、次の例には、えええ、そんな育ち方もあるの?となります。
ナガサキトラザメです。
沖縄美ら海水族館は卵生のサメとして紹介していますが、卵を長く母親の体内に保持し、子はその卵の中で孵化直前まで成長すると説明しています。
卵を産む種類でも、産むまでの育ち方が一律ではないんですね。
卵生、とラベルを貼っただけで、その過程まで全部分かった気になるのは早かった。
同館の記録では、2022年12月に産まれた六個の卵から、2023年1月に六個体すべてが孵化しました。この飼育記録を読むと、産卵から孵化までの期間と、母親の体内にいる期間を、別に考える必要があると分かります。
ここ、大事です。「産まれた卵が短期間で孵化した」という記録を見て、その子が育った全期間まで短かった、と決めつけないようにしましょう。卵が外へ出る前の時間もあるからです。
同館は、この繁殖の仕方を卵生と胎生の中間的な方法と考えられるものとして説明しています。これは「どちらか分からないから適当に中間へ入れる」という話ではなく、産卵するまで卵を保持するという、具体的な育ち方の特徴の話です。
ただし、ここから「この種がすべての胎生サメの祖先だ」とまで結論づけることはできません。発表されている説明の範囲で、サメの繁殖を調べるうえで興味深い例として受け取ってください。
たとえば調べ学習で「卵生と胎生の違い」をまとめるなら、最初に基本の区別を書き、そのあとにナガサキトラザメの例を添える順番がよさそうです。
基本を書いたあと、「ただし、卵生でも産卵前に母体内で長く育つ種類がいる」と足す。最初の説明を全部消して書き直す必要はありません。理解が進んだ分だけ、説明にもう一行加えられます。
それって、調べる楽しさそのものじゃないでしょうか。
最初は二つに分けて分かったつもりになった。次の例を読んだら、もう少し詳しく知りたくなった。知識が増えると疑問も増える、あの感じです。
なお、リンク先は2023年のお知らせで、赤ちゃんの展示は終了したと明記されています。今回紹介しているのは繁殖の記録であり、今その個体を見に行けるという案内ではありません。
「卵生って、卵を産むこと」と説明できたら、次は産む前の時間にも目を向けてみてください。一つの言葉が分かったあとに、その中の違いを探す。ナガサキトラザメの例は、基本を覚えた先にも面白い話があると教えてくれます。
次に卵の説明を見たら、名前・形・栄養の三つを探そう
さて、最初の「サメって卵なの?赤ちゃんなの?」へ戻ってみましょう。
今なら、種類によるよ、だけで終わらせずに話せます。
卵を産む種類もいる。体内で育った子を産む種類もいる。そして、育つ場所が分かっても、栄養の取り方はもう一つ調べたい。
この二段階が、今日の持ち帰りです。
次に解説を読むときは、まず種名。次に生まれ方。そして、子が何を栄養にするか。分からない欄は空けておいていいです。写真だけでは見えない仕組みを、勢いで埋めないほうが、次に読む楽しみが残ります。
卵の外見を比べたいときも、名前を一緒に見てください。アクアワールド・大洗の紹介では、ナヌカザメの卵殻の表面は平滑で、近い仲間のオーストラリアンスウェルシャークでは曲線の凹凸があると説明されています。
ここで、形が違う理由まで想像したくなるかもしれません。
でも同館は、模様の意味は詳しく分かっていないとしています。見える違いがあることと、その意味まで分かることは別。形を見て「なぜ?」と思えたら、それ自体がいい発見です。
家でメモするなら、最初の一枚は二列でも足ります。「分かったこと」と「まだ気になること」。卵殻の表面が違う、は前の列。どうして違うのか、は後ろの列。疑問を失敗扱いせず、次に調べたいこととして置いておけます。
親子で話す場合も、答えを先回りして全部渡さなくていいですよ。「この卵、何のサメのものだろう」「中の子は何を使って育つのかな」と、一つずつ調べれば十分です。相手が形に興味を持ったら形を、栄養に興味を持ったら栄養を。気になったところから進めましょう。
図鑑を買うなら、今回は繁殖も扱う一冊を候補にしました。Gakkenの書誌では、アクアワールド茨城県大洗水族館監修、120ページ、ISBN9784052061035と確認できます。同名の本や電子版もあるので、紙の本を希望するなら商品名と形式を見て選んでください。
もう少し知りたい、と思ったら本を開く。今は一つの種が気になるだけなら、水族館の解説からでも進められます。買うことを勉強のスタート条件にしなくて大丈夫です。
サメの卵を見て、最初に驚いたのは形だったかもしれません。
そのあとに「中で何を食べるの?」「産まれる前はどこにいたの?」まで気になったなら、見ているものが、もう一段面白くなっています。
次の一匹を見つけたら、まず名前を読んでみてください。
そこからまた、えっ、このサメはそうなの!?が始まります。